
エスエスピー株式会社 様
そのうちの1つがサイレントドロップにも使われている原料です。
工場や現場などで発生する塩化ビニル系壁紙(以下、塩ビクロス)の廃材を、紙と樹脂に分類せずに粉砕し、独自のノウハウと特殊な機械で、粒の重さをコントロールし減衰効果をもたせています。
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塩ビクロスの廃材を生まれ変わらせた秘話を大公開

当社の試みとフクビが求めていた素材がマッチ
サイレントドロップの原料開発のきっかけは?
当時、別件で壁紙のリサイクル企画を行っており、現場の廃材を活用した製品開発をしていました。
タイミング良くフクビさんから、『壁紙の原料を紙とペーストに分けずに一緒に混ぜて使いたい』『粉砕した原料をフレーク状にしたものが欲しい』という要望をいただきました。
それで試作した原料をフクビさんにお渡しし、色々な角度で試験して、ついに遮音性能を発揮するサイレントドロップが生まれたというわけです。


安定した材料確保に苦心
原料を完成させるにあたっての課題は?
最初は新築現場から出る端材で試験していました。
ですが、ゴミが混ざっていたり、ノリが乾いておらず機械の刃を悪くしてしまったり…。
せっかく材料を集めても、再資源化できる物に仕分けたら少量しか残らず、心が折れそうになりましたよ。
そこで、各クロスメーカーが頭をかかえている問題であり、年間約4千トン以上ものゴミが出ている製造時の廃材に着目しました。
ゴミといってもこれらは管理されており、その他のモノが混ざっていないため再資源化がしやすい。
試行錯誤を繰り返し、他社との関係づくりにも力を入れ、安定してメーカーからの廃材が手に入るようになりました。
塩ビクロス廃材を粉砕して原料ができるまでに3年以上かかりました。


塩ビを混ぜ合わせる特殊な技術
原料づくりに活かされた強みとは?
セルロース系の樹脂などは約160度、塩ビは約180度くらいで焦げてしまいます。
そんな中、当社のMF機は焦がさずに材料を混ぜ合わせることができます。
通常の押出機だと融点を気にしながら温度を調節し、しかも温度を下げると樹脂が溶けなく混ぜづらい。
当社の特殊混合器は、セルロースにあまり熱の負荷を掛けずに混ぜ合わせることが可能なので、非常に難しい試みでしたが完成させることができたのだと思っています。


第三者に理解され評価された喜び
サイレントドロップが完成した時の気持ちは?
完成した時に、日経アーキテクチュアで『建材設備大賞』を受賞し、都市や建築・住宅の未来を切り開く優れた建材に認定されました。
とても大きく話題になり、試作にとても長い時間と手間をかけた身としては、とても嬉しかったです。
サイレントドロップの一番画期的なことは、屋根裏の全面に敷かなくていいことだと思いますね。
グラスウールなどは全面に敷かなくてはいけない中で、1㎡あたり1.5個~2個載せることで効果が出ることに大変驚きました。

原料・工法とも新発想の遮音製品
あらためて、サイレントドロップの印象は?
天井ボードを剥がして載せていくだけのため、施工が楽で職人さんでなくてもできる点は良いと思います。
置床含めて、遮音シートを貼ることや、二重天井にすることに比べたら、非常にやりやすいですよね。
ビスも不要なため、施工の段取りさえできれば、天井を剥がしてテープを設置して、サイレントドロップを載せる人と天井ボードを貼る人に分かれれば、施工は一瞬で終わります。
製品のことを理解さえしてもらえれば、施工者に慣れてもらうまでに時間もあまりかからず、とても使いやすい製品だと思っています。


以前、完成したマンションの試験で、部分的に遮音が落ちてしまったが、明日入居者が入るタイミングなので、早急に対処しなくてはいけない現場がありました。
そこで、すぐにサイレントドロップを設置して対応しました。
新築マンションは、遮音値を必ず測定しますが、一部で思うように値が出ないことも。
リフォームだけでなく、そういった早急なリカバリーを求められる場合にも最適な製品であると思います。
サイレントドロップへの期待
材料として、各クロスメーカーから出る壁紙の廃材をそのまま100%活用しています。
サイレントドロップの中のうち90%に、そのリサイクル材が入っています。
この中身は劣化せず、半永久的に効果が出せます。
再々利用も簡単ですので、使用後の回収の仕組みも作れるといいですよね。
今後取り組まれたいことは?
壁紙のゴミが日本からなくなることはありません。
それらを活用し、サイレントドロップ以外の製品もどんどん開発していきたいと思っています。